多重人格者【完結】


――――――…ここは酷く暗い。







≪だって。よかったね。カンナ≫


殺樹が薄らと笑みを浮かべて、カンナにそう言った。
それに顔をくっと歪めると、カンナは親指の爪をパチンと一度噛む。



≪何が?どこが?≫

≪ん?あやめはこれでカンナに従順になるかもよ?≫

≪……はあ?それのどこが“よかったね”なんだよ≫


カンナは更に顔を歪めて、殺樹に言う。
低い、威嚇する様な声を出して。



≪だって、殺っちゃうならあやめの人格は邪魔でしょ?≫

≪……≫




カンナは押し黙る。
一気に訪れた静寂。


まとわりつく様な、殺樹の視線。
カンナは眉を顰めたまま、そんな殺樹をじっと見る。


シンとする中で、カンナは一度親指の爪を噛んだ。


パチンと、それが辺りに響き渡る。