多重人格者【完結】


その時。


≪……なあ、あやめ。お前が草野を守れると思うか?≫


ハッキリと、カンナの声が響いた。



≪アタシはアタシの邪魔をするヤツを許さない。それが誰であろうとも≫


ククっと高笑うカンナ。
タイミング良く現れては私を苦しめる言葉を吐く。



「……や、めて。心、君には…」


震えるか細い声で、私は懇願する様に声を絞り出す。


私の主導権はカンナがいつだって握ってる。

負けたくないと強く願おうが、その意志とは反対に。



≪知らねえなあ?くく、ははっ≫


そうやって、また私を不安に陥れる。


カンナの私への恨みは相当だと思う。
もう、私はこの世にいない方がいいんじゃないかって。


バカみたいな事も、カンナがきっかけで簡単に考えてしまうんだ。


≪どんな感じだった?なあ?あの男に触られて≫


止めて、止めて、止めて。


お願いだから、もう何も言わないで。