また、説得に時間かかるのか。

この数年。
毎日苦労して磨き上げて、練り上げた計画を潰されてしまっては困るのだ。

あんな小娘に。

“彼女”の計画は誰にも教えていない。
自分だけの秘密だ。

言えばきっと、暴動が起きることをわかっている。

“彼女”は頭がよかった。

確かに、今まで昴が受け持ってくれたのは正直感謝している。
感謝はしているけど、言ってしまえばそれまで。

それと、この計画は別物だ。

“彼女”は聡明だったが、冷酷で非道で残酷だった。


そんな“彼女”を作り、産み出したのは、あの禍々しい出来事だった。
それを、“当人”はわかっていなかったんだ。
覚えていなかった…、否。
忘れているのだった。



都合良く、ムシのいい話。
だから、“彼女”は“当人”が嫌いだったのだ。

くくっと、自虐的に笑うとまた“彼女”は闇に飲み込まれていく。

…そう、それもいつものことだ。
“彼女達”にとってみれば。


何も知らないのは“当人”と、その“周りの人間達”なのだから。