多重人格者【完結】


「ちょっとちょっと!心」


心君はめんどくさそうに顔を顰めている。



「あのさ、そんな言っちゃマズイ事なわけ?」

「……」

「何?あやめちゃんは犯罪者か何か?」

「違う」

「それじゃあ、何かから逃げてるの?」

「……そんな感じ」

「ふうん」

「もういいよ、大丈夫」

「わかった!」

「え」


私と心君が二人して、奈乃香さんに注目する。
奈乃香さんは両手を上げて、はあっと溜息をつく。


「わかったから!泊めるから!」

「まじで?」

「うん、泊める」

「!!ありがとう!姉ちゃん!!」

「でも!条件がある」

「…条件?」


奈乃香さんは人差し指を立てると、心君に突き付ける。