多重人格者【完結】

「…もう、放っておけとか言うな」

「…っ…」

「まじで放っておけないから」

「……」

「俺を素直に頼って。いや、頼れ」

「…く、さの、く…」

「お願いだから、一人で泣かないで。
心配でどうにかなる」



草野君は空いた手で、ゆっくりと私の頭へと手を伸ばす。

まるで壊れモノを触るかの様に。


私の髪の毛を優しく上から梳いて行く。



「なんか告白してるっぽくね?俺」


そう言って、あはって笑う草野君。


明るく笑う姿に、少しだけ涙が引いて行く。
釣られて私の頬も緩む。


「守ってやるってハッキリと言えたらカッコいいんだろうけど。
俺、あやめにもう嘘つきたくないし。
だから、結構自信ないけど守らせて」


私に信じてもらおうって、草野君はきっと正直に言ってくれてるんだ。



私はこの手を取ってもいいんだろうか。
静かな頭の中。

誰も何も発さない。


きっと、これは私が決める事。


元より…、誰にも相談なんて出来ない。