多重人格者【完結】


……さっきのだって、嫌悪感一杯で逃げ出したけど。

でも、受け入れなきゃいけなかったのかな。とか考えちゃってる私もいて。


他の人格が、さっきの行為を受け入れたくもないのに受け入れてたんだから。


それでも。

…それでも。


殺樹とは違う草野君みたいな、第三者からそう言われると。



「…っ、…」


心の氷が溶けてく様な、張り詰めていた糸がぷつんと切れた様な。
そんな、どうしようもない安堵感に、涙が次々に溢れては止まらなかった。



「…手、握るよ?」


遠慮がちに重ねられた草野君の手。
それが温かくて、また涙が溢れる。


空いてる手には草野君から貰った缶を持ってるし、反対は草野君の手があるし。
だから、涙を拭う事も、顔を手で覆う事も出来なくて。


私は顔を歪めて、ボロボロと涙を零した。


そんな私を見ながら、草野君は握る手に力を込める。