多重人格者【完結】


「そしたら泣きそうな、恐怖に怯えてる様な、そんなあやめが走って来るじゃん?
関わるなって方が無理だよね」

「……」

「それに、俺もう結構事情知っちゃってるしさ?
いい加減あやめも諦めたら?」

「……」


静かに首を振る。
そんな私に草野君は怒る事なく、あくまでも優しい口調で諭す様に話してくれた。


「あやめは自分が酷い事したって言ってたけど…。
――――――全くしてねえよ?」


語尾はしっかりしてたし、何よりも私の目を見てハッキリと言ってくれた草野君に一度ドキンと胸が鳴った。


「いつからされてたとかわかんないし、憶測もあるけど。
でも、あやめは被害者なんだよ?」


ぎゅうっとスカートの裾を握る。
最初はそう、私も思った。

でも、カンナとかに責められる度に。

私が悪いんだって思えて来て。