実際、日常の生活には支障がない。
だから、今までそんな事が多々起きても放置していた。
もしかしたら、本当に夢遊病で勝手に母親の化粧品を使ってるのかもしれなかったから。


一ヶ月に数回だし、母親も義父も気付いていないようだった。
まあ、勝手に母親の化粧品使っているなら、疑問に思う事はあっても注意しないのかも。


ぼんやり思考を巡らせていると、いつの間にかチャイムが聞こえて授業の終わりを告げた。
すぐさま、葉月が私の元へやってきて腹を抱えて笑っている。


「…まじ、何さっきの!あやめ、やばい!」

「もーうっさいなあ。昨日眠れなかったの!」

「ふ、く、でも、うける」

「はーづーきー」

「はいはい、ははは」


はあっと、軽く溜息をついて私も笑う。
葉月に夢遊病かもしれないってことをカミングアウトしていなかった。