多重人格者【完結】


「…話してくれてありがとう」

「ん…」

「……」

「安心しろよ、俺がカンナの好きにはさせない」


ぎゅっと握る手に力を込めると、草野君はそう言った。

だけど。


「どうやって?」


カンナを止めるなんて事、出来るの?
私にだって、そんな方法が一切思いつかない。


「俺が毎日は無理かもしれないけど、ツレにも頼んで毎日見張らせる。
夜にカンナを見かけたら、止めてくれって」

「それはやめて。草野君以外、いや、草野君にだって危害が加わるかもしれない。
運良く草野君には手が出されてないけど…、私の手の痣。
…殴ったんだよね?あの人達を」

「………」


私を襲おうとした人達。
どんな惨状だったのかは、私は見てないからわからない。

だけど、あの人数の中から逃げ出せたんだ。

…カンナの強さは半端じゃない。


草野君は何かを思い出してるのか、黙ったままだ。