多重人格者【完結】



「…いいか?」

「…うん」


草野君は私を見つめてそう確認した。
だから、私も草野君を真っ直ぐに見つめて頷く。

草野君はぽつり、ぽつりと何があったかを話してくれた。


カンナは親父を殴ろうとしてたって事。
それを、嬉々としてやろうとしてた事。

ストレス発散と、私への嫌がらせ。


その話を聞いて、私の視線は自然と自分の手に向かう。
殴った痕。
痣になって、記憶のない私にもハッキリとわかる証拠。


「……」


カタカタと私の手が震える。

これから。
私が寝てしまったら。

こうやって、カンナは誰かを傷付けようとして、私を苦しめるんだ。

自由に動きだせる時に。



「大丈夫か」


草野君は震えている私に気付いたのか、手をそっと握る。
だけど、私の震えは止まらない。