多重人格者【完結】


「あやめはパン屋とか似合いそう。
誰かの為に何かを作ってあげるのとかさ」

「そんな…」

「うん、あやめは誰かを喜ばす事が出来そう。
俺と違って」

「………」


もう、前を向いていたから草野君の表情はわからなかった。
だけど、絶対切ない顔をしている。

カンナが出てから、私とわかった後の草野君。

あんな顔を、きっとしてるはず。



「…草野君だって、喜ばす事出来るよ」

「…そっかな」

「うん」

「あやめがそう言ってくれるなら、俺頑張るわ」

「…うん」


そのまま、私と草野君は何も言葉を発しないまま校門を過ぎる。
人もまばらになって来たとこで、草野君はぴたりと止まった。


「ちょっと、寄ってかねえ?」


そう指差したのは小さな公園。


ベンチに座ると、草野君は自販機でジュースを買ってきてくれる。