でも、蒼くんは何日も目を覚まさなかった。



毎日学校帰りに私が蒼くんの病室に行って話しかけるけど、蒼くんは目を覚ましてくれない。



詩音って、優しい声で呼んではくれない。



「蒼くん………今日はね、数学の時間に寝ちゃったの」



静かな病室に、私の声が響く。



「蒼くんが起こしてくれなかったからだよ………」




蒼くんがいないと、心にぽっかりと穴が空いたようで。


授業が頭に入らないし、夜は眠れないし。



おかげで授業中に寝ちゃうし。