「……先生?」 私が反射的に後ろへと下がっていくうちに、トンッと背中に壁が当たった。 そして先生は、逃がさないとでもいうように、私の顔のすぐそばに手をついた。 「せっ、先生? 誰か来ちゃいますよ?」 「大丈夫。しばらくここには、誰も来ないから」 今、研究室は私と先生のふたりきり。 先生のきれいな二重の瞳は今、まっすぐ私だけを見つめていて。 互いの吐息がかかりそうなくらい、先生の顔が間近にあって、すごくドキドキする。