私達は細かいところも調べる。


食器棚から食器を取り出して、隅から隅まで。


念のために、棚を移動させたりしたけれど、棚の裏はほこりまみれなだけで、ぬいぐるみや人形はなかった。


カウンターも、もしかしたら中は空洞なのかもしれない、と叩いてみたけれど、そんな事はなかった。




結局、台所にはぬいぐるみや人形、そして他にこの屋敷から出られそうなものはなかった。




「結局、何もなかったな…」


「そうね、あんなに探したのに…無駄だったってこと?」




と、皆、ぽつりと呟く。


すると、





「いや、まだ部屋はたくさんある。


それに、時間もある。


まだ、ゲームは始まったばかりじゃないか、皆。


そう落ち込むことはないよ」




と、山崎君が皆を励ました。




そうだよね。


まだ、ゲームは始まったばかり。


部屋だって、また1室しか調べてないんだから、手掛かりが得られないのも仕方の無い事。




まだ、私達には余裕があるのだから。