「…なんか、お前のお母さんの評判悪くね?」
と、橘川君は山崎君に言った。
「俺もちょうど、そう思っていたところ。
俺の母親って、こんな人だったんだって思って、がっかりしてるよ」
「あそ」
ちょ………橘川君、なんだか冷たくない?
あそって……もうちょっと何かないの??
と言おうとしたとき、ちょうど橘川君が日記のページをめくった。
「7月14日
冬花の病状がかなり悪いので、今日、医者の卯月先生に来てもらった。
卯月先生は、『大分良くなりましたね』と冬花に言っていたが、
私には、『もう……駄目ですね』と顔をしかめて、低い声でそう言った。」
もう、駄目……。
それは、とうかちゃんの病気は、治らないっていうこと?
それとも…とうかちゃんは病気で、死んでしまうっていうこと?



