そして、橘川君は次のページをめくった。




「7月8日




旦那が帰ってきた。


私は、旦那に冬花の病気が悪化していることを伝えた。


旦那は顔をしかめて、無言で頷いた。


分かっていたことだ。


全部全部、分かっていたこと……………。」


「7月10日




冬花がこっそりと外へ出ようとしているのを見つけた。


私は、冬花に叱った。


ここ最近、冬花の顔を見ないか、冬花を怒るか…しか、冬花にしてやれてない。




もしかして、冬花はいなくなるかもしれないのに……。


どうしていいか、分からない。」


「7月12日




また、冬花の病気が悪化してきた。


家政婦の山崎さんに看病を頼んだが、やはり山崎さんは無表情で淡々と仕事をこなすように、冬花を看病していた。


その姿は、看病している、というより、監視しているみたいだった。」