まるで、桜子ちゃんがヒーローで、山崎君がヒロインみたいだ。


その様子を見て、皆くすっと笑う。


もちろん、私も。


桜子ちゃんが山崎君に抱きしめられているのは、ちょっと悔しいけれど……でも、あそこにいるのが私じゃあ、駄目だったと思うから、いいや。




だけど、1人だけ、笑っていない人がいた。


好実ちゃんだ。




ギリリ……と歯軋りをしながら、桜子ちゃんを睨んでいる。




「好実ちゃん…………………?」


「裕美子ちゃん、ちょっと……………」




「えっ!?」




好実ちゃんに腕を引っ張られ、連れて行かれたところは、トイレだった。




「こ、好実ちゃん。


どうしたの、一体」



「あのね、裕美子ちゃん………………私ね、桜子がニセモノだと思うの。


だから、桜子を殺すの、協力してくれない?」