「だ、だって………」


「言い訳なんていらない!


好実には、自分の意思なんてないんだわ!」


「で、も…………………」




好実ちゃんは、桜子ちゃんに責められて、目に涙を浮かべている。




「ひっ…う………ううぅ…………っ」




その様子を見た桜子ちゃんは、好実ちゃんの頬を叩いた。


パンッと乾いた音が、廊下中に響く。




「さく………ら…こ?」


「泣けばいいと思うなよ!!!


いつもいつもそうやって泣いてさあ!!!


正直腹立つんだよ!!!!」




桜子ちゃんがそう言うと、好実ちゃんは男の子の熊のぬいぐるみを持ったまま、逃げ出した。




「ちょ、好実……!?」




桜子ちゃんが好実ちゃんを追いかけようとしたが、山崎君が桜子ちゃんを止めて、




「北出さんは行かないほうがいい。


俺が行くよ」




と言って、好実ちゃんを追いかけた。




「待って、山崎君!」




そう言って、私は山崎君を追いかけた。