「7月12日


きのうよりはしんどくない。


お母さんはいない。


かんびょうしてくれるのは おてつだいのやまざきさん。


今日もマネキンみたいな ちょっとこわいかお。」




そう書かれたページの隣には、お手伝いの山崎さん…山崎君のお母さんらしき人の、マネキンみたいな顔が描かれていた。




「ちょっと、山崎のお母さんってこんな顔なのか?」




と、空峰君が笑いながら山崎君に聞いた。




「う~ん、こんな感じだったかなあ?


俺は、おばあちゃんに育てられてたから、あんまりお母さんの顔は覚えていないんだよね」


「覚えてないって…?」




私は思わず、山崎君にそう聞いてしまった。




「死んだんだ、うちのお母さん。


俺が、3歳か4歳くらいの頃。


まあ、あんまり会ってなかったし、育てられた覚えもないから、悲しくはないんだけどね」




と、山崎君は爽やかに笑いながら言った。




「ごめん……」




と、私は小さい声で謝った。