「裕美子と山崎君がそうしたいなら、二人だけでぬいぐるみ探せば?」




美玖はゆっくりと顔を上げ、死んだような目で、そう言った。




「私は嫌。


ぬいぐるみ探しても、どうせニセモノなんて分からないに決まってる」


「そんな事、ないよ!


絶対、たくさんぬいぐるみを見つけることができたら、ニセモノなんかすぐに見つかるって!」


「…それこそありえない。


だって、今分かっているニセモノのヒントは、ニセモノは、以前にこの屋敷に来たことがある、でしょ?


ねえ、それって誰なの?


この屋敷に来たことがある人って、分かってるの飯島さんだけでしょ?


でも、飯島さんはニセモノじゃない。


だったら、誰なのよ?


ねえ、この屋敷に来たことあるのって、誰なのよ?


ほら、誰も言わないじゃない。


この屋敷に来たことあるよ~!だなんて。


ニセモノは、ホンモノと同じ見た目、声、性格、癖、記憶、仕草を持っているんでしょ?


それって、ニセモノはホンモノと同じってことじゃない!


自分はホンモノだと思っているのに、殺されてたまるかって、皆そう思ってるに違いないのよ!


だから、誰も自分はこの屋敷に来たことがあるなんて言わない!