僕のお父さんはある有名な会社の本社に勤めている優秀な人…
らしい

お母さんが言ってた

お父さんは仕事の事も何も話してくれない

いつも疲れきった顔をして帰ってくる

あー…大変なんだなぁ…

そんなことを思ってた




そんなある日

僕はその日お友達の家に泊まりに行ってた

でも途中で財布を家に忘れたのに気づいて走って家まで取りに行った

家のドアを開けて財布をポケットにしまい、また走り出した

「明るい道を通って来なよ」
僕のお友達がそう言ってた

だから僕はその道を通ったんだ

でも…そこで見てしまった




お父さんが知らない女の人と仲良く
肩を組んで




ラブホテルに入っていくところを




ショックで何も考えられなかった

お父さんを止めることもできなかった

お母さんに…

お母さんに言おう…

お父さんが浮気をしてるって…

言わないとお母さんがかわいそう…




僕は次の日お父さんに問い詰めた

「お父さんはお母さんのこと好き?」

お父さんはすこしビクッとした

そして引きつった顔で
「何を言ってるんだ、当たり前だろ」

そう言った

顔に私は浮気をしていますって
書いてあるみたい

「昨日の夜帰りが遅かったらしいね
何で遅くなったの?」

またお父さんはビクッとした

「…」

何も答えられないみたい

「浮気とかじゃないよね?
もちろんお母さんが好きだよね?
昨日遅くなったのは会社の飲み会だったんだよね?
知らない女の人とラブホになんか
入ってないよね?」

お父さんは青ざめていた

「もちろん」

そう言ったお父さんの声は震えていた




僕は告げ口をすることにした




「お母さん」

「なぁに?」

お母さんは洗い物をしていてこっちを向けないらしい

「昨日お父さんの帰りが妙に遅かったんでしょ?」

お母さんはお父さんと同じようにビクッとした

でもすぐに
「そうね…」
と、寂しく言った

「お父さん、昨日知らない女の人とラブホ入ってたよ」

「え…」

お母さんは持っていたお皿を落とした

パリーンという音がキッチンに響いた

その音を聞きつけてお父さんがやってきた

「また皿を割ったのか…?
いい加減にしてくれ…」

そんなことを言ったお父さんの服の襟元をお母さんはガッと掴んだ

「何で…私がいるのにも関わらず他の女とイチャイチャしてんのよ!」

お父さんはビックリしてた

「俺はそんなことしてねぇ!!」

そう怒鳴ってたけどお母さんの目にはもう怒りしかなかった

「あなた今まで何回浮気をした?!
何回許した?!
答えなさいよ!!」

お母さんの目には涙がいっぱい溜まってた

「そんなに私が嫌なら離婚届でも持って来なさいよ!!」

あーあ…

もう我を忘れてる

お父さんは青ざめていた




お父さん




浮気はダメだよ