閑古鳥が鳴いていた
昔っからのボロい店

きっともう誰もこないと
悟っていたから閉めたんだ

ひゅうひゅう冷たい北風が
俺の身体をびしびし叩いた

ぶるると震えた俺に
同調するかのように
ワン!と野良犬が吼える


どこかへ行きたい

思い立ったが吉日さ

どこかへ行きたい

けど一体どこへ行こうか


ほんのりと
白み始めたばかりの朝

妙に太陽は低くって
あんまりにも俺の目には眩しかった

かさかさと落ち葉が
俺の足元で音を立てた

足元を見た俺に
見せ付けるかのような
鮮やかな赤と黄色が目に映る


どこかへ行きたい

誰も俺を知らないところへ

どこかへ行きたい

けどそこはどこだろう


そっと手を伸ばした
薄青い空に向かって


どこかへ行きたい

とても遠いところへ

どこかへ行きたい

だけど少し怖いかもしれない


顔を上げて
少しだけ
目を細めて
寂れた自分の村を見た

とんでもなく古い
だあれもこないような
小さな村