いぬのきもち。





朝目覚めると、隣に寝ていたタロが、いなかった。


そして、なんだか香ばしい匂い。




ぼんやりした頭のままリビングに行くと、キッチンに立つタロがいた。



タロがにこにこしながら振り返る。




「おはよ、ちい」


「おはよ………」


「ふふ、ちいの寝起き、可愛い♡」




私はあくびしながら何気なく聞いていたけど、ん?と動きが止まる。



ーーーなに、この甘い雰囲気は?




私が戸惑っている間に、目の前のテーブルにタロが皿を並べていく。



ほかほかのトーストにふわふわのスクランブルエッグ、べビーリーフのサラダ。




「なにこれ………」


「朝ごはん♡泊めてくれたお礼」


「あ、そう………」




ん?泊めてくれたお礼?


どういうこと?



ってかタロ、料理なんかできるの?




謎だらけだけど、ご飯があまりにおいしそうなので、とりあえず食べることにしよう。