いぬのきもち。

「いいお湯でした」



お風呂から上ったタロが、そんな言葉遣いをするものだから、なんだか変な感じだ。



私は気を取り直すようにドライヤーを持って、タロを呼んだ。




「おいで、タロ。乾かしてあげる」


「わぉ!ちい、優しい♡」




タロがにこにこしながら、ソファに座る私の足元にしゃがんだ。


タロをお風呂に入れて、乾かしてあげる瞬間が、私の至福の時間なのだ。



タロの髪は、やっぱり細くてふわふわで、手触りが最高。




「よし、乾いた」


「………」


「ん?タロ?」




返事がないのを不審に思って覗きこむと、タロは目を閉じていた。



あらら、寝ちゃったんだ。


そうだよね、今日は色々ありすぎて疲れたよね。




あー、なんか私も眠くなってきたな……。




「タロ、起きて」


「………んー」


「ほら、風邪引くよ。ベッドで寝よ」


「うん………」




私はタロを引きずるようにして寝室に入った。




「ん……ちい、一緒に寝るの?」


「うん……私も眠い」


「おやすみ………」


「おやすみ………」