私を抱きしめるタロの胸が広くて、腕が長くて、なんだか調子が狂う。


ぱっと顔を上げると、タロの優しい微笑みに包まれた。




「ちい、身体冷えてるよ」


「あ、ずっとタロのこと探してたから」




私の言葉に、タロが目を丸くする。




「俺のこと探してたの?今までずっと?」


「当たり前じゃん!」


「うそ……やば、嬉しすぎる」




タロの顔がぽっと赤くなる。


私はおかしくなって吹き出した。




「何、タロったら照れちゃって」


「だって、ちいが俺を探してたなんて」




タロはよく分からないポイントで喜んでるらしい。


犬の気持ちは、人間には理解不能だな。




「よし、寒いから帰ろ」


「俺も行っていーの?」


「当たり前じゃん!」


「ちい……優しい♡惚れ直した♡」




タロは再び私の頬に唇をつける。



それが、犬の身体のときに鼻をすりよせ、ぺろぺろ舐めてきた仕草にそっくりで………



……あぁ、この子は、やっぱりタロだ。