「あのー……大丈夫ですか……?」


「………うーん」



男の子は伸びをして、眠そうに目を擦りながら起き上がる。



そして、私を見て。




「ちい!!」




ぱっと顔を輝かせ、なんとまぁ、驚いたことに、がばっと抱きついてきたのである。




「えっ、えっ、誰!?」




私は慌てて身をよじり、男の子の腕から逃れる。


すると、途端に男の子が悲しそうな顔になった。




「俺のこと、分からないの………?」




大きな瞳を潤ませ、泣きそうな声で言う。


そのつぶらな瞳、首を傾げる仕草。



それを見た瞬間、私は分かってしまった。



「………もしかして、タロ!?」


「あったりー♪」




男の子ーーータロが、もう一度ぎゅうっと抱きついてきた。


今度はあたしも抱きしめ返す。




「ど、どどどどうしたのタロ!?」


「ちいに会いたかったから♡」


「だからってなんでそんな姿に!?」


「ちいをこうやって抱きしめるため♡」


「ええーっ!?」




何がなんだか分からない。



私が混乱していると、タロが私の頬にちゅっとキスをした。




「きゃ!?」


「ちい大好き♡」


「え、それはもちろん私もだけど!」


「本当っ!?」




タロがお花畑のような笑顔を咲かせた。