いぬのきもち。

「おはよう神谷さん」



顔を出したのは大家さんだった。



「この子、神谷さんのわんちゃんよね」



そう言った大家さんが、腕に抱っこしているのは………




「た、タロ!?」




くりくりの黒い瞳で私を見上げ、尻尾を振っているのは、紛れもなくタロ(犬)。




「ちい、お客さん?」




ーーーじゃあ、私の後ろで呑気な声を出してるこのタロ(人)は………




「一体誰なの!?」



「えっ?」




タロ(人)がぱちぱちと瞬き。




「俺は三宅孝太郎だけど?」



「え……コウタロー……コウちゃん!?」