いぬのきもち。

タロの顔が近づいてくる。


軽く唇が触れ合った。


その柔らかさ!



ちゅ、ちゅ、とキスは続く。



そして、タロがぺろりと私の唇を舐め……




「ちょっ、タロ!?」




私はタロの肩を掴んで離れた。


それでもタロは、夢中な表情で身を寄せてくる。




「俺、ちいのこと好きなんだ」




タロはそう言って、私の後ろ、顔のすぐ横の壁に手をついた。



タロの腕の中に囚われ、私は硬直する。




「隣に住んでた時から、ずっと………」




…………ん?


何かおかしいぞ。




私とタロはもちろん、タロが生後三ヶ月の時から一緒にいる。



隣に住んでたことなんて………。



私の頭の中で、ぐるぐると疑問符が飛び回る。




そのとき。




ピンポーン。



チャイムの音に思考が遮られる。




「あ、誰か来たかな!?」




私は叫ぶように言ってタロを押しのけ、玄関に向かった。