絶対零度の鍵

「…え?」


『何か』に背を向けるように踵を返した瞬間、微かに声が聞こえた気がした。


一瞬立ち止まる。



「……か……ぎ……」



今度ははっきり聞こえた。




背中を嫌な汗がつぅと伝う。



死んで、ない、らしい。


蚊のなくような、小さな息遣い。


『何か』は、人か…おばけか…


女の子のような、声…


暗闇に馴染みつつある目で、振り返りたいような衝動を抑え、もういっそのこと走って逃げようと構えた。



「……許さ…ない……」



聞こえてしまった呪いの言葉に、僕はヨーイドンの格好で固まった。