絶対零度の鍵


今日の月は赤く、大きかった。


「やっぱり望遠鏡買おうかなぁ…」


ぼんやりと眺めつつ、呟いた。


僕は、無趣味で無将来だが、星はなんとなく、好きだった。


そして特に冬の空が好きだった。


だから、今じゃない。


だけど、冬は寒いから、中々天体観測なんてできない。


寒さと綺麗さで行ったら、僕は寒さの方が上を行く。


どんなに綺麗でも寒さには勝てない。


あまりの綺麗さに言葉を失うってことも、ない。


そんなだから、この場所で、こんな風に空を見上げたりなんかするのも、夏限定ってな感じだ。


ゴロン、と芝生の上に仰向けになって月を見つめた。


蚊よけしてくんの忘れちゃったなぁ、なんて思いながら。