絶対零度の鍵

ちょうど曲の切れ間。



「卓毅(たくみ)!」



また思考が彷徨っていた自分を、高い声が呼び戻す。



思わず顔を上げると、いつの間にか駅前の予備校で。



その出入り口。よく知っているショートカットの女の子が、呆れた顔でこちらを見ていた。



「尭(あき)…」



「もう、今日も遅刻ぎりぎりだよー?」



腰に手をあてて頬を軽く膨らましている彼女は、小学校から高校までずっと一緒の幼馴染みだ。



何かと僕の世話を焼くので、僕としては母と同レベル位に恐れている。



放っておいてくれればいいのに。



見えないように、軽く溜め息を吐いた。