絶対零度の鍵


「誰だ?!お前は…」





さっき蓮貴の後ろを歩いていた長身の男が、跪(ひざまず)いた格好で振り返って僕を見た。




その向こうに、蓮貴が僕と対峙するように立っていた。



蓮貴は白い袈裟を着ていて、片足を踏み出した所で、驚いたように僕を見つめている。





想像していたのとは違う、実に殺風景な場所だった。



それに―



この場に居合わせているのは、蓮貴と、振り返ってこちらを見ている男、の二人だけだった。







「部外者の立ち入りは禁止だぞ!」







長身の男は立ち上がると、いきり立って僕に向かってくる。



僕は構う事無く奥に向かって叫んだ。







「蓮貴!!!」





細い身体に、どこにそんな力がと思うほど、軽々と男は僕の胸倉を掴んで持ち上げる。





「翠の所にっ!」






喉が、苦しい。



が、退くわけには行かない。