絶対零度の鍵

自分を慰めるかのように、少し明るめに声を出し、腕を伸ばした。




―翠を幸せにして欲しい。




掌のカサ、という感触に気付くのと、蓮貴の言った言葉を思い出すのとは、同時だった。





「あ、そうだ。翠…」




僕は慌てて起き上がって、握り締めていた文を見つめた。




まずい。



さっき、翠に蓮貴が戻ってきたら渡すように言われていたんだった。





「うーん…どうしよう…」




蓮貴が居なくなることを知ったら、翠は哀しむだろうな。


それとも鐘が鳴ったから、もう知っているだろうか。




「そういや、何の用だったのかな。」




翠の様子が、ちょっとおかしかったな、と僕は考え込む。





「急ぎの用だったら、困るし―でも、蓮貴はもう居なくなっちゃうし…」





悩む。


文は封がされてない状態で、読もうと思えば読めた。