絶対零度の鍵

門に近い庭に立ち尽くしたまま、蓮貴を待っていると、見知らぬ男がやってきたのが見える。



痩せてはいるが、かなりの長身だ。


黒い服に身を纏い、鞘を腰に提げている。



彼は中に入らずに、誰かを待っている様子で、道のある方を見つめてじっとしていた。



暫くして、片膝を地面に付け、頭を垂れたので、僕は首を傾げながらその様子を伺った。


すると、走ってきたのか、息を切らした蓮貴がやってきたのが見えて、僕は思わず叫ぶ。



「蓮貴!」




しかし。



門の内側で二言三言、長身の男と何やら交わした蓮貴は、そのまま僕を見る事無く、廊下を進んで行ってしまう。




「おいって、蓮貴!」



再度呼びかけるが、一瞬だけちらりと横目で見ただけで、蓮貴は僕から顔を背けた。



その後ろを歩く長身の男も、僕のことを一度だけ振り返ったけれど。





「…なんなんだよ?」




僕は少し腹が立って、かといって追い掛けることもできず、中途半端に取り残されたような気持ちになった。