絶対零度の鍵


庭に立ちすくんだまま、僕は雨が雪に変わったことを知った。




温度師が、死んだ?


蓮貴の任命…。




頭の中を、玄の言葉がぐるぐると繰り返されている。




そして、繋がる。



いつか、蓮貴と二人で歩いた畦道。




『今の温度師が死んだら、千年に一度の鐘が鳴る。それで、世代交代の時が来たことを知るんだ。』



『…じゃあさ、かなり突然なんだね?』



あの時の、会話。




鐘の、音。





文を握り締めた手の甲に、冷たい雪が舞い落ちる。





―やっぱり、蓮貴は、泣いてるんだ。



果たして、別れの言葉を伝える時間は、残されているのだろうか。