絶対零度の鍵



寒い、と身を縮めながら門を出ると、裸足のままの翠が、雨に打たれて突っ立っていた。



「あ…」



翠は僕に気付くと、少し気まずそうに唇を噛む。




「どうしたの?なんで靴を手に持ってるのに裸足なの?身体冷やすよ?」




翠と僕はあの時以外会話をすることはなかったが、蓮貴と一緒に居る時に、たまに顔を合わすと視線だけで挨拶し合う仲だった。




「ちょっと…急いでて…」




翠は僕と目を合わせることなく、呟いた。




「蓮貴…居る?」




「蓮貴なら、今ちょっと出かけてて居ないんだ。もう帰ってくるかなとは思うんだけど、、、中に入って待ったら?」



僕が提案してみたが、翠は首を振った。



「ん、じゃあ、いいや…」



そして踵を返そうとして、ぴたりと止まった。




「もし…帰ったら―」