絶対零度の鍵

「私の命もあと僅かで尽きようとしている。この闘いを見届けることができるかどうか、もわからん。せめて話し相手がいればなぁと考えていた。そんな時に現れたのがお主さぁなぁ。」



鉄の格子を両手で握り、老人は淳を見下ろしている。




「なぜ、貴方はこの闘いの場にいるんですか?」




到底戦に出向くような年じゃない。




「温度師が姿を消す前―最後に話した者が、私だったからだぁなぁ。」



老人の言葉に、詩尉がテラスでしていた報告を思い出す。



「貴方が―」



「私も一応、温度師の一族の端くれでなぁ。今の温度師に会うことが出来て嬉しくてぇなぁ。ずっと前に亡くなった孫の話をしたんだぁなぁ。そしたら居なくなっちまってぇ…もしかしたら私のせいかもしれねぇと、呵責を感じてここに居させてくれと願い出たんだぁ。」



「まさか…」



淳は自分の中に浮かぶ予想に、言葉を失う。




「ちょっと、待って下さい。この闘いはそれじゃ、、、蓮貴との闘いってことはつまり―」




老人は頷いて淳の言葉を引き継いだ。




「こちら側が勝たなければ、死の雨が降るということじゃ。」