絶対零度の鍵

だが、老人が姿を消したのはほんの一瞬で、直ぐに窓に姿を現した。


それを黙って見ていると、老人がおもむろに脇から窓の外に向かって、何かを撒いた。



「?」



老人が撒いたものは、砂のようなものらしい。



当然下に落ちていくだろうと思われたそれは―




「マジか…」




老人の前の空中で止まっている。



まるで、そこに何かがあるかのように。




そう、つまりは―




「見えないけど、道があるってことか…」




それも、全体っていうわけじゃなく、ちょうど老人の居る塔の前の部分だけらしい。


実に危険だ、と淳は思った。


透明な道には個人的に関心があったし、そそられるが、そもそもこの謎の老人に会いに行った所で自分に何のメリットがあるのかわからない。




―遠慮します。



そういう意味を籠めて、手と首を横に振った。