絶対零度の鍵

氷の柱は瓦礫を見事に粉砕し、その破片が、地面が、爆風と共に飛び上がる。



淳はこの至近距離だと、無防備な自分はかなりの被害を被ることになるな、と咄嗟に思った。


けれど、どんなに早く走ったとしても、この粉塵には追いつかれてしまうだろう。





―やっぱり安全な所なんかなかったか。



半ば自棄になって、諦めが頭を過ぎる。




が。




何か、強い力に引っ張られるような感触がしたと思った瞬間、あろうことか淳は空を飛んでいた。




全てが一瞬の出来事だった。




はるか下に、先程まで自分が居た場所が見える。




あらゆる危険物が飛び散っている様子もばっちりだ。




砂煙がボコンとはじけた。



そして、気付く。




自分が、空を飛んでいるわけではないらしい、と。




何故なら淳の腰をがっちりと掴む強靭な腕が目に入ったからだ。