絶対零度の鍵

声は上にあるテラスから響いてくるようだ。


ひとつではない。


淳は耳を欹てた。




「なんてことだ!!!温度師が消えただと!!!!」




「は、いえ…まだ、その、はっきりと決まったわけでは…」




「しかし!あいつは現におらんのだろう!!」




「今、全力で捜索中でございます。」




この暑い国とは不釣合いにも、随分と緊迫した空気が漂っている。




「それと―これは関係があるかわからないのですが…」



「なんだっ!早く言えっ!!」




恐縮し切っている恐らく家来に当たる者が、とても言いにくそうにしているのを、多分それより偉い人がいらいらしながら急かした。





「鍵が―、注文してあった熱界雷の鍵が、鍵師の店から無くなったそうです。その、材料共々…」



「何ぃ!?!?!?」




家来は決して悪くないのだが、責められている。



淳はこの家来のことがなんとなく、不憫に思えて仕方がなかった。