絶対零度の鍵

「はい。ここ数日で突然現れたのですが…かなり大きく獰猛な魔物のようで…出くわした者は生きておりません」




平和なこの国で、そんな事例は滅多にない。



余程ショックだったのだろう、おじさんはがっくりと肩を落とした。




「王は?なにしてるの?」



右京の問いに、おじさんはぴしっと姿勢を正し、




「王は、直ぐに動いてくださり、警備隊を増員し、国民に獣が出現し易い時間帯の出歩きを禁止致しました!」




しかし―とおじさんは続ける。その声は小さい。




「捕獲には至っておりません。何しろ、警備隊もかなりの数失っております…」



おかしいな、と右京は首を傾げる。



こんな大きな問題なら、灼熱の国からの使者が、極寒の国に来ていても良い筈なのだが。