絶対零度の鍵

「こら、翠に訊いているんじゃないだろう。」


「翠、少し大人しくしていなさい。」



それぞれに注意された翠は、すぐにしょんぼりと肩を落とし、「はい…」と返事をした。


そんな彼女を横目に、尭は考える素振りをしてみせる。



「翠の言う通りで…名前以外全く思い出せないんです。私を知っている方がこの村に居れば、もしかしたら何かわかるかもしれないのですが…」



卓毅や右京などもこの村に来ているなら、目立つだろうし、わかる筈だと思った。



「…そうですね。恐らく、この村に入れたということは、私たちと全く無関係という訳ではなさそうだ。もし、体調が良いようだったら、明日翠にこの村を案内させましょう。」



「ありが-」


「え、いいの!?やったぁ!!」



大体外見からすると10歳位の少女は、先ほどまで沈んでいた表情をどこかへふっとばし、無邪気に手を叩いて喜んだ。



「翠っ!」



案の定、碧から咎められていたが、もうその顔に憂いは見当たらなかった。