絶対零度の鍵

なんか、疲れたな。

皆、どうしてるのかな。


急に心細く感じて、慌てて振り払うように首を振る。


気を取り直して、門の傍に灯されている明かりを暫くぼんやりと見つめていると、物音と共に女の人が顔を出した。



「あらあら、遠い所まで歩かせてしまったようでー翠から話は聞きました。さ、どうぞ、中へお入りください。」


恐らく翠の母親だろう。人の良さそうな笑顔で尭を手招く。



「いいってー!」



その母の後ろから、ひょっこり顔を出した翠が嬉しそうに指で円を作って見せた。



「あ、ありがとうございます…」


尭が深く頭を下げて御礼を言うと、翠が飛んできて尭の腕をひっぱった。


「そんなのいいからー!早く入ってください!」


翠の母親も頷きながら、微笑ましく見守っている。


「わかった、わかったから!」



尭は翠にグイグイ引っ張られて、転びそうになりつつ、家の中へ足を踏み入れた。