絶対零度の鍵


「…わからない、だが、もう、そろそろだ。」



ずっとだんまりを決めていた蓮貴が、歩調を緩める事無く答えた。



「わかんないの?はっきりと決まってないの?」



僕も変わらずに、蓮貴の後ろを歩きながら訊ねる。



「今の、温度師が死んだら、千年に一度の鐘が鳴る。それで、世代交代の時が来たことを知るんだ。」



「へぇ、そうなんだ…」


蓮貴の言葉を咀嚼するのに時間を要するため、僕は少し口を閉じる。




「…じゃあさ、かなり突然なんだね?」



「そうだ。」



僕の導き出した結論を、蓮貴は淀むことなく肯定した。




「寂しいな」



受け止める相手の居ない言葉は、風に吹かれて消える。