絶対零度の鍵

「翠が?」


「うん。僕がちょっと具合が悪くなったのを、通りがかって介抱してくれたんだ。」



蓮貴は、へぇ、と興味なさげに答える。



「蓮貴のこと、気にしてたよ。」



「…そうか」



それだけ言うと、彼はすっと立ち上がる。



「さ、行くぞ」



「あ、うん。」



続いて僕も立ち上がると、プチっという音がした。



「?」



不思議に思ってみてみると、蓮貴が白い花を手折っていた。




「それ、気に入ってるの?」



僕が訊ねると、蓮貴は背を向けて歩き出しながら、



「別に。」



と素っ気無く答えた。