絶対零度の鍵

「途中で出て行って、帰って来たら帰るところがなくなってた、ってことはあるのよ。」



質問をぶつけてみると、翠はなんてことはないように答えた。



「どういうこと?」



さらに訊ねると、翠は僕を上から下まで眺める。



「星は、外見からすると、、まだ若いわよね。で、その若さで途中で村を出て行って、例えば空間を支配する国に行ったとして、王宮かなんかに長いこと居たとすれば、時間の流れがあそこは違うから―帰ってきたら知り合いが居ないってことは在り得るわ。」



翠の説明に、僕の頭はこんがらがるばかりだ。




けど、もう一度訊ねてみても、これ以上の答えは期待できそうにない。




「…そうなんだ」



とりあえず、理解できたフリをした。




そんな僕を見て、翠は全部お見通しとばかりに、また小さく笑った。