絶対零度の鍵

「今は、って?」



当たり前だが、今の言い方が腑に落ちなかったらしく、直ぐに翠が訊き返す。



「実は…僕、ここで倒れているところを蓮貴に助けてもらったんだ。だけど、記憶がなくて…」



言いながら僕は小さく溜め息を吐いた。


そう、それをなんとか取り戻したくてここまで来たのに。



「そうだったの。大変ね。でも、ここの村の子であることに間違いないからそんなに心配しなくても大丈夫よ。」


「どうして?」


「だって、この村に入れる者は、この村の者だけだもの。」




翠は当たり前のことだと言うように、僕を見た。


そう言われれば。


蓮貴にも、同じようなことを言われたなと思い出す。




でもこの狭い村に、僕が居たとしたら、わかる者がでてきても不思議はないんじゃないだろうか。