絶対零度の鍵

けれど話せる元気などもう残っておらず、早く一息つける場所に着かないものかと思う。


僕の荒い息と、がさがさと草にひっかかる音、虫や鳥の声がする。


多分に漏れず、蓮貴が息を切らしていない。



やがて、開けた小高い場所に出ると、蓮貴の足が止まる。


時間で換算してみれば、大した山ではない。


小山、と言い表すのが正しいくらいの山だ。



だけど、僕にはちょっとまだキツかった。




「裏山だ。その名自体は別にあるんだが。」




淀みない声で蓮貴が僕に言った。


黒髪が、気持ち良く吹いた風に揺らされた。




僕は呼吸が落ち着かないので、頷くだけで返すと、蓮貴はにやりと笑う。




が、何も言う事無く、少し先の崖になっている辺りに腰を下ろした。




僕もそれに続いて、蓮貴の隣に座る。



小高いその場所からは、小さな村が、そしてその向こうまで良く見えた。



やっと息を深く吐けるようになった頃、僕は口を開いた。



「さっきの、女の子…良かったんですか?」



栗色の髪の、かわいらしい子だった。