絶対零度の鍵

「あ、蓮貴ー!」



あてもなく歩いているように思えて、どこか目的地はあるのかどうか、ないなら、倒れていた場所へ連れて行ってもらいたいとお願いしてみようと決意した所で、前方から声が掛かった。


この村では初めて聞く、底抜けに明るい声だった。


それに付け加え、蓮貴にこれほど親しげに近づく者も初めてだった。




「ちっ…」



なのに、当人はあろうことか舌打ちし、くるりと向きを変えると、来た道を戻りだした。




「え…あ…え?」



女の子は、嬉しそうに振っていた手を、ぴたりと止めると、力なく下ろす。



「ちょっと、、蓮貴?…」




僕はその場に立ち止まったまま、行ってしまう蓮貴と、その姿を切なげに見つめる女の子を交互に見ながら、戸惑いの声を上げた。

女の子は暫く蓮貴を見つめていたが、ふと気付いたように僕を見る。



「あ、れ?あなた…誰?」