絶対零度の鍵

のんびりとした、世界だった。


蓮貴のゆったりとした歩調に倣い、僕も隣に並ぶ。




「つまらない、所だろう?」



「―え?」



息と共に落ちた呟きは独り言のようで、一瞬反応が遅れた。


うららかな陽射しと、田んぼ道。


時々、働いている者を見かける。



蓮貴が通りがかるのを見かけると、誰もがお辞儀をした。



蓮貴はそれを受けて、軽く頷く。




「…静かな、良い所だと思います。」




僕がそう言うと、蓮貴は馬鹿にしたように笑った。




「それを、『つまらん』と言うのだ。」



蓮貴がつまらないという度に、自分のことやこの場所のことを蔑んでいるように聴こえて、僕には正直居たたまれなかった。



なんて、言葉をかけてあげればいいか、わからなかったからだ。